Tutaの新規事業ブログ

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オープンイノベーションを始める前に 3つの要点

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オープンイノベーションを“成果につなげる”ための3つの視点

オープンイノベーションという言葉は、いまや企業活動の定番ワードになりました。
しかしその一方で、「外部と交流すれば何か起きるだろう」という“儀式化”した取り組みになってしまい、結局は成果につながらないケースも少なくありません。

実際、過去には「オープンイノベーション推進室」を立ち上げたものの、社外との雑談イベントばかり増えてしまい、肝心の事業案が一つも進まなかった──という企業の声もありました。
では、うまくいく会社は何が違うのか?
そのヒントを、歴史的な事例や実際の取り組みを交えながら、3つの視点で解説します。


1. オープンイノベーションの「目的」を決める

“外の技術を使う”こと自体が目的ではない。

オープンイノベーションとは本来、「外部の知を取り込んで、自社の事業価値を高める」ための手段です。
しかし現場では、手段が目的化しやすく、活動そのものが目的化してしまうことがあります。実際、オープンイノベーショングループを立ち上げ、定期的な外部交流会を開くことが目的になり、成果がでないうちに解散した、というのもあるあるの話です。

● 歴史が示す “手段と目的のズレ”

2000年代、P&Gは「Connect + Develop」戦略でオープンイノベーションの成功例としてよく取り上げられます。
彼らは最初から“技術連携”を目的にせず、「消費者の便益」と「市場価値向上」を明確な目的に据えました。
結果、プリングルスの印刷技術など、外部連携によって画期的な商品開発に成功しています。

重要なのは、「どんな便益をお客様に届けたいのか?」を最初に定義すること。
ただし、最初から便益をガチガチに固めてしまうと探索が止まってしまうので、“幅をもたせた便益の仮説”を持つのがポイントです。


2. ネットワーキング環境をつくる

人脈は「必要なときに探す」のではなく、普段から耕しておく。

多くの企業は、「オープンイノベーションをやるぞ!」と旗を掲げた瞬間にパートナー探しを始めます。
しかし実際に強い企業ほど、平時から大学・研究機関・スタートアップと「弱いつながり」を持っています。

● 偶然の出会いを作る仕組み

NTT西日本が大阪・京橋に開設したオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE」は、まさに“偶然の出会いを設計している場所”です。
壁を極力なくしたオープンな空間に、イベントスペースを囲む段差席やカウンター席が配置されていて、そこでパソコン作業をしていると、自然とイベントの音声や雰囲気が耳や視界に入ってきます。

「ちょっと面白そうだな」と思えば、そのまま作業を中断してイベントに参加できる。
この“ゆるく巻き込まれる動線設計”が、業界や組織を超えた会話を生み、結果として3年足らずで約90件もの共創プロジェクトに結びついたと紹介されています。

ここで重要なのは、「誰と組むか」を机上で一生懸命考えるよりも、偶然の出会いを起こしやすい環境を先に整えるという発想です。
オープンイノベーションを進める企業にとって、「場づくり」は単なるハコ物ではなく、共創の起点そのものになり得ます。
また、社内には、いろいろな部門や社外の人々と交流をして、普段はフラフラしている、とみられる人もいます。こういう人は、実はいろいろな組織が持つ能力を把握していて、それらをつなぐ役割を果たすことも多いです。こういう人を育てておく、というのもイノベーションの実現に重要になります。


3. 意思決定のスピードを設計する

オープンイノベーションは、“スピードが遅い会社”が負ける。

外部技術との協業は、自社だけにとって都合の良い案件ではありません。
他社も同じ技術を狙っています。
だからこそ、“決める力”が勝負を分けます。

● スタートアップは「明日やろう」と言う

実際、ベンチャー企業の創業者と話していると、
「いいですね、じゃあ明日からやりましょう」
と即答されることがあります。

ここで大企業が
「一度持ち帰って検討します」
と言ってしまうと、スピードの差で話が成立しません。

だからこそ、人数・期間・予算を事前に決めておくことが重要です。

  • 5人専従でやるのか?
  • 3人が兼任しながらやるのか?
  • 3ヶ月なのか半年なのか?
  • 予算の上限はいくらまでか?

これらをあらかじめ組織として合意しておくことで、意思決定速度は飛躍的に上がります。もちろん、全部その場で結論を言えるクラスの人が打ち合わせに出席していない場合も多いでしょう。ですが、このプロジェクトの予算や期間の見込みはこれくらい、というイメージをチームであらかじめ共有しておくことで、それぞれのメンバーがどれくらいの話をすればいいのかを理解して、具体化する話を踏み込めるのです。


結局は「本気度」がすべてを決める

オープンイノベーションの成功企業には共通点があります。
それは、
“外の力を真剣に活用して、自社や社会の未来をつくる意志があるか?”
という一点です。

クローズドなイノベーションでも、オープンイノベーションでも、
本気で取り組む組織には必ず成果が生まれます。

オープンイノベーションは魔法ではありません。
外の力を扱うには、目的・つながり・スピード——その3つを揃えること。
そして最後は、人と組織の「本気のコミットメント」が未来をつくります。


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参考にしたエピソードの引用リンク

  1. P&G「Connect + Develop」戦略の紹介
    https://dhbr.diamond.jp/articles/-/11722
  2. NTT西日本「QUINTBRIDGE」事例解説(MU Blog)
    https://minority-united.com/blog/key-of-the-open-innovation-success/
  3. オープンイノベーションの成功要因に関する研究
    https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/14090004.html
  4. 「新産業構造ビジョン」
    https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shinsangyo_kozo/pdf/017_05_00.pdf
  5. 大手企業がスタートアップと協業する目的とは?連携方法を解説!
    https://japan.plugandplaytechcenter.com/blog/startup_collaboration/

著者プロフィール

Tuta
シャープ(株)にて、テレビ、太陽電池システム、家電のクラウド接続・サービスなど多くの商品・サービスをゼロから開発し、事業化。その後菓子メーカーにて顧客基盤システムを開発・整備。
アイデアをシステムとして実現するための基本設計、チームビルディングを得意とする。大阪大学特別講師、IEEE(米国電気電子技術者協会)標準化コミッティー委員などを歴任。国内国外含め200件以上の特許を出願。

Author: Tuta | Published on: 2025年12月08日

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