意外と古いAIの歴史
意外と古いAIの歴史――巨人の肩に乗ってきた技術たち(改訂版)
1950-70年代:計算機の誕生と「知能」への憧れ
今でこそ「AI」と聞けば生成AIや自動運転を連想しますが、そのルーツは意外に古く、1950〜70年代から研究が始まっています。
たとえば日本でも、産業技術総合研究所(産総研)は前身組織を通じて、1950〜60年代からコンピュータ技術・電気試験の研究を進めていました。(マイナビニュース)
こうして計算機(コンピュータ・CPU)が発展し、四則演算を機械的にこなす時代が訪れ、「知能を機械で再現できるか?」という問いが研究者の間で立ち上がりました。
当時登場したのが パーセプトロン(Perceptron)。
入力信号を重み付きで合算し、閾値で出力を返すという、単純な神経モデルです。
当初は「人間の脳そのものを再現できるのでは」と期待されましたが、
深い構造を持たせにくいこと、非線形分離問題を解けないことなどが弱点となり、研究が停滞。これが「AIの冬」の一因となりました。
1990年代:第2次AIブームとニューラルネットワーク
90年代以降、「多層ニューラルネットワーク(マルチレイヤパーセプトロン)」を使った学習法(バックプロパゲーション法など)が発展し、再びAIが注目を浴びます。
実は、現在の生成AIの基盤技術である「多層ニューラルネットワーク(ディープラーニング)」というアイデアそのものは、この時代から研究されていました。
しかし、当時の計算機性能では処理コストが非常に大きく、実用用途に落とし込むには至りませんでした。
つまり「理論として正しいが、実装が追いつかない」時代だったのです。
2000年代~2010年代:GPUの登場と高速化
AIの実用化に不可欠だったのが演算性能の飛躍的向上です。
過去30年で、プロセッサの性能は数百倍~千倍のオーダーで向上したとされており、1000時間かかっていた処理が1時間で済むようになる例も想像されます(実際には用途・モデルによって変わりますが、桁違いの改善があったことは確かです)。
そして決定打となったのが GPU(グラフィックス・プロセッサ) のAI用途への転用。
NVIDIAのブログでは、ディープラーニングが「GPUの並列処理性能 × 大量データ × ネットワーク構造」を組み合わせた技術として、AI革命を牽引したと説明されています。(NVIDIA | Japan Blog)
具体的には、GTC(GPU Technology Conference)で、「GPUがディープラーニングをもたらす力」を紹介するセッションが組まれるなど、AI界隈でGPUが中心的存在になった歴史も記録されています。(NVIDIA | Japan Blog)
さらに、AI用途向けインフラ整備として、日本では産総研が ABCI(AI Bridging Cloud Infrastructure) を整備。SC18 総合誌でも、産総研が1950年代からコンピュータ研究を重ねてきた歴史と、ABCI の構築が紹介されています。(マイナビニュース)
2017年以降:トランスフォーマーの登場と第3次AIブーム
2017年に発表された Transformer(“Attention Is All You Need” 論文) は、自然言語処理を根本から変えたモデルです。
従来の逐次処理(単語を順に処理する方式)に対し、Transformer は文脈を**同時に見る(Self-Attention)**という斬新な仕組みを導入し、処理効率と性能を飛躍的に向上させました。
このモデルが登場したことにより、文章生成・翻訳・要約・質疑応答など、さまざまなタスクを統合的に処理できるようになり、現在の ChatGPT や各種生成AIの礎になっています。
例えば NVIDIA の NeMo などは、生成 AI モデルの構築・デプロイを支援するフレームワークとして、Transformer 系モデルをベースに、多モーダル生成(テキスト+画像)などの応用にも対応しています。(NVIDIA Developer)
また、最新の ABCI 3.0 では、6128 枚の NVIDIA H200 GPU を備え、旧世代比で 7~13 倍の性能を実現しており、生成 AI や大規模言語モデルの研究を加速するインフラ基盤として注目されています。(arXiv)
巨人の肩に乗る――AIの進化の本質と新規事業への含意
研究の世界には「巨人の肩に乗る」という格言があります。
すなわち、先人たちが築いた基盤(理論・技術・インフラ)を活用して、その上に価値を積み重ねることで、より高いところへ到達できる、という意味です。
AI の歴史も、その繰り返しでした。
- パーセプトロン → 多層ニューラルネットワーク → GPU応用 → Transformer → 現在の生成AI
- それぞれの段階で、前世代の技術・知見を“土台”にして新しいブレークスルーが起きてきた
新規事業の文脈でも同じことが言えます。
「ゼロからの発明」よりも、既存の知見や技術を活かしつつ、その上に新しい付加価値を重ねていくアプローチは、成功確率を高めやすい戦略です。
AI の歩みは、新規事業を考えるうえで非常に示唆に富んだ物語だと思います。
もしよければ、この「AIの進化」ストーリーを、そのまま「新規事業との親和性ストーリー」に続ける文章も一緒に作りましょうか?もしくは、引用確認も含めてさらにブラッシュアップします。
Author: Tuta | Published on: 2025年09月24日