展示会で発表してしまった。で、特許が取れる?
特許出願の新規性喪失の例外について
特許出願には「新規性」が必要ですが、
うっかり論文で発表したり、展示会で先に公開してしまった場合、
普通ならこの公開で“新規性ナシ”になって特許は取れません。
でも、日本の特許制度には“新規性喪失の例外”という救済策があるんです。
新規性喪失の例外とは?
例えば、出願前に自分でアイデアを論文や展示会で発表してしまった場合、
「公開から1年以内」に特許出願すれば、その公開行為は無かったこととして扱われます(特許法第30条)。
この1年ルールは平成30年の法改正までは6ヶ月でしたが、今は1年間に延長されています。
例
- 学会で新しい発明を発表してしまった
- メディアで製品を紹介してしまった
- 展示会で試作品を公開した
これらの場合でも公開から1年以内であれば、例外申請で特許を狙えます。
手続き方法
- 特許を出願する際、願書に「新規性喪失の例外規定を適用希望」の記載をする
- 公開した事実・日付・内容が分かる証明書等(エビデンス)を出願日から30日以内に特許庁へ提出
証明書の例
- 論文や雑誌掲載の場合、発行日・発行元・該当ページなど記載した書面
- ウェブ公開の場合、掲載日時・URL・公開者・内容など書面
注意点
- 日本ではこの救済策があるけれど、海外出願には使えない国も多数
- 公開からできるだけ早く特許出願することがおすすめ (発表を見てヒントを得た他人が近いエリアの特許出願を行う可能性がある)
- 第三者による拡散などはケースによって適用できないこともあるので、慎重に!
実際の事例
スタートアップや研究者でも研究発表や展示会の後に、この規定を使って救済されたケースが増えています。
参考URL
- 発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続(特許庁)
- 新規性喪失の例外規定の適用と、その注意点(LH特許事務所)
- 特許の新規性喪失の例外とは?公開後でも権利化するため(toreru.jp)
- 新規性喪失の例外 - きのか特許事務所
- おろし器事件:公報掲載後の新規性喪失の例外適用の可否(こやま特許事務所)
- 特許法第30条(新規性喪失の例外規定)の適用(山口大学)
- 新規性喪失の例外【日本】証明書の押印・署名不要に関する情報(三枝国際特許事務所)
- 新規性喪失の例外(FAQ)|chizai-faq.com
- 新規性喪失の例外【カンタン解説】(chizai-assist)
- 新規性喪失の例外規定の適用を受けるにあたり研究機関の注意点(三枝国際特許事務所)
Author: Tuta | Published on: 2025年09月05日