計画立ててますか?

計画づくりを「俯瞰の地図」にするために
どんなに“光るアイデア”を持っていても、それを現実に動かすには、「何をいつまでにやるか」という“地図”を描くことが大切です。特に新規事業や新規開発では、計画があるかどうかで、チームの動きも経営の安心感も大きく変わってきます。
今回は、計画の立て方、特に「縦軸=タスク/ステップ」「横軸=日程」というエクセルっぽい表のイメージで整理する手法について、過去の事例を交えつつ、“なぜこのやり方が効くのか”を軽めに解説します。
1. ブレークダウン:まず“やること”をぜんぶ書き出す
新規でお店を始めるなら――という例を使うと、次のようなタスクがまず出てきます。
- 立地を決める
- 店舗を準備する(内装、レイアウト、設備)
- 仕入れルートを決める
- スタッフを手配する
- 集客方法を構築する
- 法的届出・許認可をとる
この段階では、大きな粒(「立地決定」など)と小さな粒(「什器発注」「オープニングキャンペーン立案」など)が混ざっていても構いません。「大小いったん置いて、気になることを全部書き出す」ことがポイントです。
この作業の背景には、「頭の中で散らばっている断片=“やらなきゃ”だけれど整理されていないタスク」を可視化して、「何が抜けているか」「何がまとまれるか」を見える化する効果があります。実際、計画立案支援のサイトでも「まず一覧化して整理する」ことが“新規事業では必須”とされているのが確認できます。 ([スピーダ][1])
事例的補足
例えば、長年フィルムで有名だった 富士フイルム株式会社 が化粧品・医療分野に進出したケースでは、フィルム技術というコア技術を“新市場/新製品”へ展開するために、既存資源を見ながら「どの技術をどう応用するか」「どの新しい商品を出すか」というタスクを分解して進めており、計画の“モノを並べる”ことが成功要因のひとつです。 ([株式会社グローカル| 地域の中核企業を支援する経営コンサルティング会社][2])
つまり、「まず書き出す」プロセスは、既存の枠を超える新規事業こそ、なおさら重要なステップなのです。
2. グルーピングと階層化:タスクを“まとまり”で整理
書き出したタスク群を眺めると、だんだん似た性格のもの同士がまとまってきます。
例えば「店舗」「商品」「スタッフ」「集客」というような大きなカテゴリーに分け、さらに「店舗」なら「内装/レイアウト/設備」「仕入れルート」なら「仕入先調査/契約交渉/輸送手段確保」「スタッフ」なら「募集/面接/教育」という感じで階層化します。
この階層化・グルーピングによって、
- “どの分野をいつから着手すべきか”が見えやすくなる
- タスクの抜け漏れが可視化されやすくなる
- チームに“誰がどのまとまりを担当するか”共有しやすくなる
というメリットがあります。
なぜ“大小混ざっていてOK”なのか
頭の中は最初にはそんなには整理されていません。大きな項目とか小さな項目とかに分かれていないので、思いついたことを列挙することが重要です。整理は、列挙したリストを見て後からグループ分け・階層化できますし、むしろその方が“漏れ”を防ぎやすくなります。上述の “書き出す→グループ化” の流れが、実践でも定着しているプロセスと言えます。 ([pmfc.co.jp][3])
3. スケジュール化(横軸):いつ、どれくらいかかるかを仮置き
タスクを縦軸に並べたら、次は横軸=日程です。エクセル的に言えば、列に「年月」または「週」「月」を取って、各タスクがどの期間で実施されるかを仮置きしていきます。
ポイントとなる考え方
- 順序関係を整理:例えば「立地決定」が先、「内装設計」が先、というように。
- 各タスクに“どれくらいかかるか”数字を仮置き:経験がないことはあいまいでも構いません。聞いたり調べたり、AIに尋ねたりして「現状の自分たちならこのくらい」という推測を立てる。
- 深く考えすぎない:未経験のタスクほど「思った通りにいかないこと」が多いので、仮置きをしたあとに“想定内の修正”を前提にしておく。
この手法を使って俯瞰図を作れば、「いつまでに何を終わらせておくべきか」が見える化されます。実際、「計画を立案してスケジュールを可視化すること」が新規事業成功の鍵とする分析もあります。 ([ils.tokyo][4])
事例で見る「仮置き日程」の意味
例えば、設備発注は“内装設計+レイアウト決定”が終わらないとできない、という順序があるとします。このように「Aが終わらないとBに着手できない」関係を整理しておくことで、遅延リスクを早めに把握できます。
実際、先端企業でも「スモールスタートで開始・仮置きから実験・修正を速く回すこと」が新規事業において重視されています。 ([Sony Acceleration Platform][5])
つまり、「仮置きでふわっとでも日程を並べておく/修正前提で進める」ことが、予期せぬ遅延を受け止めるための余白になります。
4. 計画の見直し
表を一旦作ったら、それで終わりではありません。次は「見直し」です。見直し時にチェックすべきポイントは主に以下の2つです。できればチームメンバー全員で行うのがいいです。この見直しを行うことで、さらに計画の精度があがります。
-
縦軸の項目に抜けがないか?
書き出したタスク群をもう一度眺めて、「もう1ステップ追加すべきか?」「見落としている小さな項目はないか?」を確認。たとえば、店舗準備なら設備リース契約、備品廃棄・引き取り、オープニングイベント準備など、見つからないうちに漏れてるかもしれません。 -
その時期にリソース(人・モノ・金・日程)は足りそうか?
「2週間しかない」「人手1名しか確保できていない」「予算計上が未確定」という状況なら、スケジュールを調整すべきです。つまり、仮置き日程と仮置きタスクを“現実の資源”と照らし合わせることが必須です。
この見直しで「頭の中で端緒だけだった断片」が“実行できるもの”に変わります。また、チーム内・経営陣との共有もしやすくなります。波及効果として、計画を立てるプロセスの中でチームの団結力も向上します。事実、「トップ層がリソースや進捗を把握できていない」ことが新規事業失敗の一因とも言われています。 ([Biz/Zine][6])
5. 計画の目的:整理 → 共有 →説得
なぜここまで時間をかけて“タスク/スケジュール”を整理するのか。以下の3つの目的があります。
-
頭の中を整理すること
アイデアだけ・漠然とした“やること”だけでは、動き始める前から混乱します。計画によって「何をいつまでにやるか」が掴めると、自分自身もチームも安心して動き出せます。 -
チームで共有できるようにすること
縦軸・横軸で整理された表を用いれば、チームメンバー各々が「自分はいつから何を担当するか」「他の人はいつこのタスクを終わらせるか」が見えるようになります。共通理解があると、連携漏れ・抜け漏れが減ります。 -
経営や利害関係者に“成立する”ことを示すこと
新規事業は、既存の業務とは違い不確実性が高いものです。だからこそ、「こんなタスクをこんなスケジュールでやります」という計画書的な可視化が、経営層や出資者にとって安心材料になります。実際、社内承認を得るための指針には「計画の可視化」が明記されています。 ([スピーダ][1])
6. 実践習慣:小さなタスクでも“計画→実行→見直し”を
新規事業に限らず、「計画を立てて実行し、見直す」という習慣をつけることが、計画立案能力の向上につながります。小さなプロジェクトででも同じ流れを踏むことで、次第にスピードも精度も上がっていきます。
たとえば、社内イベントやマーケティングキャンペーンなどでも「タスク列挙→グルーピング→スケジュール化→見直し」をやってみてください。これを繰り返すことで、新規事業のような大きなチャレンジにも抵抗がなくなります。
このように「まず表を作る」ことは単なる“仕事のための仕事”ではなく、頭の中を整理し、チームを動かし、経営を安心させるためのリアルな準備です。ぜひ、次の新規事業/新規開発チャレンジの際には、この“縦×横”の計画表作りからスタートしてみてください。
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引用・参考URL
1 成功事例に学ぶ、新規事業の進め方 ソニーの事例も紹介
2. もう『リーンごっこ』はやめよう。日本企業の“新規事業失敗史”
3. 事業計画書の書き方(社内向け・新規事業編)-決裁者が見る10項目-
4. 事例から学ぶ!「新事業展開」
5. 新規事業成功事例8選|大手・中堅企業の例と共通するポイントを解説
Author: Tuta | Published on: 2025年10月23日