恐るべし? すばらしい? ソフトバンクグループのAI関連特許
ソフトバンクグループ 孫さんの1万件超AI特許出願ニュースとは?
2023年10月、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長がAI関連で1万件超という驚異の特許出願を行った―
そんなニュースが知財・ビジネス界を賑わせました。
「え、1万件も!?」と素朴にギモンを持った人も多いはず。
この大量出願の背景や特徴を、実際のエピソードも交えて解説します。
1万件超の出願、その舞台裏
- 孫さん自身は投資家であり、発明家としても活躍
WIPOデータベースによれば、孫さんは日本で約650件、欧米含め計800件以上で発明者として名を連ねていますなど - SBG全体では2023年秋から2024年春にかけて、AI分野で1万件以上の特許出願が集中的に行われました。
これはキヤノンやトヨタなど、日本トップランカーすら大きく上回る規模です。
出願の戦略と特徴
出願の特徴は?
- 社員によるアイデアコンテストやボトムアップ体制も活用し、発明者数は6,000人超
- 2023年9月には、わずか数日で1,800件もの特許を一斉出願する「特許ラッシュ」が出現
- 技術分野も、テキスト生成、画像・音声AI、RPA、プロンプトエンジニアリングなど多岐にわたる
- 「権利範囲の種蒔き」を重視し、審査前段階で網羅的にアイデアを出す戦略が特徴
代表的なAI特許例
- ユーザ感情×AIによるサービス名称生成システム(特許第7597971号:発明の名称は「システム」)
ユーザーの気分や声のトーンを分析し、最適なサービス名までAIが提案。しかも商標違反も自動でチェックするなど、ビジネス現場で即使える内容です。 - 自動運転、分散処理、生成AI基盤技術なども出願多数
出願の実態は?
一見、少し眉つばとも思える1万件出願。特許出願を普通に特許事務所を通じて行えば大体40万円かかります。1万件となると40億円。そのうえ、発明を考えるための技術者のリソースもすごいことになるでしょう。
23年半ばから出願が始まったとしたら1年半後の2025年1月以降に特許公開ラッシュが来るはずです。9月5日現在、公開特許の検索をすると以下です。
検索式 出願人:ソフトバンクx本文(AI+人工知能+LLM)x公開日20250101~20250905
検索された数 1万520件
これからも公開があるでしょうから、1万件を有に超える出願がされています。すごいわ、ソフトバンク。
おまけに上記の検索式に加えて、x発明者(孫)x発明者(正義)を加えてみましょう。発明者を性と名で分けたのは、姓名が空白などで区切られると検索できなくなるためなので、完全に正確ではないですが、おおよそを見るのにはOKでしょう。
結果は394件。中身を見てみると、孫会長単独での発明も多いようです。
ものすごく忙しい合間を縫ってこれだけの発明創出ができるというのは、やはりとんでもなくスゴイ人ですね。
この大量出願、何を狙っている?
- 世界でAIビジネスが急成長する中、知的財産の“取り囲み”作戦
- 将来の市場拡大に備えて、幅広い事業領域でSBGが「知財の要塞」を作る狙い
- 国内中心の出願ではあるが、今後海外展開⇒グローバル競争力強化にもつなげる構想
- 社員全員が発明者になれるような"発明文化"も育てている
豆知識・エピソード
- 孫さん自身も「毎日ChatGPTでアイデアを練り続けている」と語るほどAI推し
- 1万件超の出願は短期間に行われており、内容の真価は今後の審査・登録の進展で明らかに!
参考URL
- ソフトバンクグループ、1万件超のAI関連出願(日経クロステック)
- ソフトバンクの大量特許出願、4月に約1万件公開(yorozuipsc.com)
- 生成AIで孫正義社長が発明者である特許分析
- ソフトバンクG、特許で覇権狙う(vision00.jp)
- 弁理士が解説|最新の登録事例から学ぶ生成AIの特許戦略(zelojapan.com)
- 日本国内のAIのプロンプト関連特許事例調査(evorix.jp)
- note: ソフトバンクG、1万件超のAI関連出願
- 推論生成人工知能で特許出願を多数行う孫正義(note)
- ソフトバンクGの特許が2日で一挙に3500件超公開(日経クロステック)
- ソフトバンクグループ特許出願公開一覧(IP Force)
Author: Tuta | Published on: 2025年09月05日